2021/03/15 10:01


渋谷区郷土博物館・文学館で開催中の「紙と日本人」という展示を観てきました。

昔は渋谷区でも「紙すき」が行われていたそうです。その他、幅広い用途で使われてきた紙の企画展。


展示は現存する最古の印刷物といわれる天平時代の「陀羅尼」、江戸時代に紙で制作された服「紙布」、革みたいに作られた紙「偽革紙」など、まさに日本人の知恵と技術が詰まった和紙の紹介。


「陀羅尼」は本当に1000年以上前のものですか?と思うくらい状態が良く美しい。張り子で作られた仏像は漆で加工されており、見た目には紙とは分かりませんがこれまたしっかり残っている。和紙は保存・加工次第で、少なくとも数百年以上は現存できる程に強くなれるのだな、と改めて感動。


「紙布」は別の展示でも拝見した事がありますが、実物を目にするとやっぱり溜息が出てしまう。紙布とは文字の通り、紙を糸状にし、それを織って布にしたもの。発想もすごいですが、もう、単純に作業・工程を想像すると途方がなくて。こ、これ紙なんですよね?と穴が開くほど見入ってしまいます。


革そっくりに作られた「偽革紙」は、身近なところでは卒業証書を入れる筒!

皮っぽいけど軽いし、もし皮だったら随分コストがかかりそうだよな。と、小学生当時になんとなく考えた事がありましたが、特に追求することはなかった卒業証書の筒。紙だったんですね! 懐かしいなぁ……なんて感慨深く観ていましたが、最近では年代・世代を感じるもののようですね。時代は確実に進んでいます。


そして偽革紙の豪華進化版? 主にヨーロッパの宮殿や教会などに用いられていた動物の皮から作った「金唐革」を和紙で模造した「金唐革紙」。室内を飾る高級壁装材で、国内だと鹿鳴館等の明治の洋風建築に用いられ、バッキンガム宮殿にも使用されそうです。これまた発想も技術もすごい……



もう、100円でこんな資料と展示が観られるなんて♡ 和紙にはたくさんの用途・加工があることを改めて知り、とても勉強になりました。コンパクトな展示でしたが内容充実、興味深く楽しい時間でした。

 


119日~321まで

渋谷区郷土博物館・文学館

開館時間11:00〜17:00

入館料:100



余談ですが、博物館への道中、実践女子大の脇を通ったら白木蓮が咲き誇っていました。白い花って尊いな。しばし見惚れる……。花言葉は「高潔な心」ですって♪春到来。